第111回日本獣医麻酔外科学会にて一般演題として発表しました

渡邉史恩 獣医師
貴院における『武器となる外科技能の確立』を目指した出張外科サービスを提供いたします。

Polaris Vetではこのたび、日本獣医麻酔外科学会 第111回学術集会において、一般演題として症例報告を発表してまいりました。
日常診療の中で経験した症例を整理し、学術の場で共有することは、臨床の質を高めるうえで重要なプロセスの一つだと考えています。今回の発表も、臨床現場での経験を整理し、考え方や視点を共有することを目的としたものです。
発表テーマ概要|先天性腹膜被嚢という疾患について
今回取り上げたテーマは「先天性腹膜被嚢(Congenital Peritoneal Encapsulation)」です。本疾患は比較的報告数が限られており、臨床現場で日常的に遭遇する疾患ではありません。一方で、偶発的に発見されることもあり、疾患の存在を知っていることが診断や対応を考えるうえで参考になる場合があります。
そのため、稀少疾患であっても知識として共有する意義は大きいと考え、今回の発表に至りました。
被嚢性腹膜硬化症(Encapsulating Peritoneal Sclerosis)との関連について
腹腔内臓器が膜状構造に包まれる疾患としては、「被嚢性腹膜硬化症(Encapsulating Peritoneal Sclerosis)」が知られています。
被嚢性腹膜硬化症は、主に後天的な要因によって腹膜の線維化や肥厚が生じる疾患として報告されており、人医療・獣医療のいずれの分野でも認識されています。
一方で、今回学会で発表した先天性腹膜被嚢は、発生機序や臨床的背景が異なる疾患概念として位置づけられています。
臨床現場では、これらの疾患名が混同されることもありますが、それぞれの疾患概念を理解したうえで評価することが重要とされています。
今回の発表では、こうした関連疾患の存在も踏まえつつ、臨床現場で遭遇しうる先天性腹膜被嚢について、症例経験を共有しました。
今回の発表で伝えたポイント
本発表では、症例を通じて得られた臨床的な視点に焦点を当てました。
特に、術中所見から得られる情報や、鑑別診断を進める際の考え方など、日常診療の中で参考となり得る点を中心に整理しました。結果や数値を示すというよりも、「どのような視点で本疾患を捉えるべきか」という点を共有することを重視しました。
学会での議論・フィードバックから得られた気づき
学会当日は、他施設の獣医師の先生方から多くのご意見やご質問をいただきました。稀少疾患であっても、実際の臨床現場では判断を迫られる場面があること、また情報共有の重要性について、改めて認識を深める機会となりました。
こうした双方向の議論は、学会ならではの大きな価値だと感じています。
Polaris Vetとしての取り組み|学術と臨床をつなぐ
Polaris Vetでは、学会発表そのものをゴールとは考えていません。
発表や議論を通じて得られた考え方や視点を、出張外科支援や症例相談、スタッフ教育など、日々の臨床支援に還元していくことを重視しています。学術と臨床をつなぐ役割を担うことが、私たちの使命の一つです。
今後に向けて
今回一般演題として発表した内容については、現在あらためて整理を行い、学術論文としての投稿も視野に入れて準備を進めています。
今後も症例の集積と共有を通じて、臨床現場にとって参考となる情報の発信に努めてまいります。
Polaris Vetは、これからも現場に根ざした学術活動を大切にしながら、動物医療の発展に貢献していきたいと考えています。

